【 囲碁普及の定義 】
囲碁界が年々と厳しい状況になっております。
この厳しい状況を打開するためには、囲碁普及をするよりありません。
誰しもが分かっていることです。
ただ、SNS等を見ていると「囲碁普及の定義」が人によってバラバラのように感じます。
私なりに囲碁普及の定義を定めて、議論がすっきりと進むように後押ししたいと思います。
【 普及とは? 】
普及という言葉の意味を調べました。
1. 広く行き渡ること。
2. 物が多くの人々の手に届くようになること。
【 囲碁普及とは? 】
普及という言葉に囲碁を付け加えてみます。
1. 囲碁が多くの人々に知れ渡る
2. 囲碁をやる人が増える
1のほうは囲碁に興味や関心を持ってもらえばクリアだと思うので、実際にプレイしなくてもOKだと思います。
2はプレーヤーの増加ですね。
【 囲碁普及は誰の役目? 】
これは日本棋院や関西棋院(以下、棋院)の仕事だと思っています。
棋院は「公益財団法人」です。
公益財団法人は寄付金をいただいて、文化などの専門知識を生かして社会貢献を行う団体となります。
ただ、棋士は棋院に所属してはいますが「個人事業主」の扱いになっています。
このようなことから囲碁普及は棋院の役目であり、棋士は仕事として請け負う立場だと思います。
棋士は、仕事先から報酬を受ける場合に、その分だけ動く(対局や仕事、あれば固定給)ということではないでしょうか。
棋士は自分の報酬を高めるために、自分のブランド価値を高めることに集中するのがベストだと思います。
1. 日本棋院が囲碁普及をする(囲碁に興味を持ってもらう、初心者から愛好家へ育てる)
2. 棋士は対局や仕事をする
3. 愛好家は囲碁を楽しむ
これでいければ理想かなと思います。
【 普及を他の業界に置き換えると 】
例えば、精肉会社がお肉を普及させる方法として、スーパーなどでの「無料試食」があると思います。
これはお肉を売っている精肉会社が材料費や人件費などを負担して、お客様に無料で提供するものです。
提供する販売員は自己負担をするどころか、お給料をもらいながら試食をしてもらうはずです。
お肉 = 囲碁
会社 = 棋院
販売員 = 棋士
とすればイメージが沸きやすいですよね。
普通の業界では販売員が報酬なしで仕事することはありません。
ましてや、会社がうまくいってなければ、販売員は転職を考えるくらいが普通でしょう。
【 囲碁普及の定義・まとめ 】
囲碁普及とは、囲碁を知ってもらい、実際に囲碁を楽しんでもらう入り口を作ることだと思います。
囲碁を知ってもらうための経費を払う=「ブランディング」
無料の普及活動=「入門教室」
無料に近い報酬で活動する=「子ども全体への囲碁普及」など
囲碁普及は囲碁のブランディング、入門教室、子どもへの普及など、報酬を得にくい分野を担当することだと思います。
そのために公益財団法人が存在して、寄付金をいただいているのですから。
【 既存の愛好家向けの活動は囲碁普及? 】
しっかりとした金額をいただいて、囲碁を楽しんでもらう愛好家向けの活動は、囲碁普及ではなく「仕事やビジネス」に近いと思います。
ただし、完全に分ける必要はなくて、囲碁普及と囲碁ビジネスを両立させることは可能だとは思います。
難易度はものすごく高まりますが。
私は囲碁普及と囲碁ビジネスは別のものと認識して活動しています。
囲碁普及活動だったらボランティアでも飛んでいきますし、仕事だったらボランティアとして引き受けることは、なにか事情がないと難しいです。
仕事なのにボランティアをしてしまうと「あちらでは無料なのに、こちらではしっかりとした料金を取るのか」となりそうですし。
これは棋士も同じではないでしょうか。
囲碁界がいまいち協力態勢に欠けると思われているのはこういうところかもしれません。普通の業界でも他社と一緒にやるのは難しいですから。
【 最後に 】
とはいえ、これまでに書いた囲碁普及に対する理想的な状況は、今の囲碁界にありません。
このような状況を危惧して、棋士や囲碁の業界人(アマ)、囲碁愛好家などが棋院とは別で囲碁普及活動をしています。
囲碁は対局時間や道具などで手軽さがないこともあり「近代に合わないゲーム」だと思うのですが、それでも今日まで囲碁が残ってきた原動力は、棋院だけではなく「囲碁界全体で囲碁普及活動をしているから」だと思います。
囲碁の文化を守ろうと一生懸命に動いてくれている方たちのおかげです。
本当にありがたいものです。
これで終わりますが、このブログで「囲碁普及の定義」をしっかりと確認して、議論がよりすっきりと進展してくれれば、これ以上にうれしいことはありません。
私の子どもたちも囲碁を楽しんでいます。
これからの囲碁界を寂しいものにはしたくありません。
私は微力ながらできることを頑張ります。
『秋の囲碁まつり2023』
2023年9月17日に日本棋院東京本院で開催されました。
参加棋士は14名の大規模イベントです。
今回はお手伝いをしてきたので、その様子を動画にまとめました。
三島響プロのイベント紹介動画もあります。
選手紹介① 一力遼棋聖
選手紹介② 井山裕太王座
選手紹介③ 芝野虎丸名人
2001年生まれ、東京都出身。
2016年入段、日本棋院東京本院所属。
藤沢一就八段門下、妹に上野梨紗二段。
天真爛漫な性格で囲碁ファンに絶大な人気を誇ります。
「ハンマーパンチ」の愛称で知られ、NHK囲碁フォーカスの講座では「ハンマー」を持って登場しました。記憶に残っている方も多いことでしょう。
上野愛咲美女流名人は女流棋戦での活躍は当然のことながら、一般棋戦のほうでも大活躍しています。
現在は女性初の新人王に向けて、決勝三番勝負を1-0でリードしています。
2022年の若鯉戦は若手一般棋戦でありながらも優勝していますね。
そして、何と言っても!
2019年のあれですよ、竜星戦の決勝です。
上野さんの勝勢で迎えた終盤。
一力さんの大石をしとめにいって、「逆に良くなりすぎると困るんですよね」というほどの状況まで追い詰めていましたが、ここからまさかの大どんでん返し。
「カケ眼生き」と呼ばれる、カケ眼二つで生きられる珍しい形ができて逆転されてしまいました。
まぁ、とはいえ一般棋戦の準優勝はすごすぎますけどね。
ちょうど電車に乗っていたときに速報が流れているほどでした。
そして、個人的に魅力を感じる部分としてはインタビューの部分ですね。
囲碁界でよくある「運良く勝ちました」「勝ててほっとしています」などの定型文は使わずに、自分の言葉で想いを伝えるところですね。
特に対局中の自分の精神状態やお腹の空き具合など、きちんと話してくれるのが面白いです(笑)
さらに個人的な思い出としては、上野さんがNHK囲碁フォーカスに講師として出演しているときに、私は囲碁講座テキストで編集担当をしておりました。
テーマは上野さんの実戦譜からハンマーパンチを鑑賞するような感じで、下島陽平八段と一緒にハンマーを持ってほのぼのとした雰囲気で収録していましたね。(ハンマーもってほのぼの?)
テーマ図作りも関係者全員で毎月集まり、会議をしました。
(無意識によく打っているケイマガケが好きな手だったんだと、本人が気付いたりといろいろありました)
とても熱心に取り組んでくれて、真面目なんだなぁという印象です。
そして、対局前のゲン担ぎでは777回の縄跳びをするそうです。
なんともエネルギッシュ!!
アジア大会にもマイ縄跳びを持っていくことでしょう。
世界戦にも強いイメージがあるので、世界相手にハンマーを振り回して頑張ってほしいです!
8/12〜13に日本棋院にて行われるIGO SUMMER FESTAの企画に「幽玄の間見学ツアー」が決まりました!
幽玄の間は、普段はトップ棋士しか入ることのできない、日本棋院の特別対局室です。
今回は特別に見学させてもらえることになりました。
詳細はIGOSUMMERFESTAの公式サイトからご確認ください!
未就学児のみの大会
キッズカップは小学生になると出場できません。
19路盤クラスのみしかないというのに、それでもたくさんの子ども達が参加していました。約80人くらいだったでしょうか。
ゲストには主催者の渡辺和代さん、棋士は小川誠子プロ、大西竜平プロ、上野愛咲美プロが来ていました。
天才児がたくさん
昔は未就学児が囲碁をやっている、さらに19路で囲碁が打てるだけでも天才児扱いされていたと思います。しかし、今では天才児が同じ会場に80人近くもいた(笑)
時代は変わったものです。
子ども達の棋力
さらに決勝を戦った二人は初段というレベルではありませんでした。優勝者(年長)は強い五段、準優勝者(年中)は三段くらいというイメージです。
優勝者はもう顔つきからして違っていて、まぁこういう子が将来は棋士になっていくんだろうなという感じです。プロ試験を受けた人なら分かると思いますが、こういう勘はほとんど外れません。棋力というよりもオーラと言いますか、雰囲気で分かるのです。
時には飛び抜けた存在がいるものですが、それでも全体的なレベルも高かったです。
初段近辺なら結構いました。5人はいたかな。
何より、この時期というのはあまり棋力というのは大事ではなくて、打ち筋のほうに興味が引かれます。
棋力はまだまだでも打ち筋を見てると、惚れ惚れするような子が何人もいました。大体が所属を見るとしっかりとした教室に通っている子が多いのですけどね。
中には一か月前に打った子が初段はないくらいかなーと思っていたら、今回みたら初段でも強いほうになっていたし、下手すると二段でもいけそうだなと感じました。
子どもの成長のスピードは恐ろしい。
うちの長男
よそ様の子を見ていて惚れ惚れしている場合ではありません。長男も一応、大会に参加してきました。お昼からの開始だったので朝からも一局打ったりと気合い十分。勘違い少年なので勝つ気満々です(笑)
まぁ、しかし結果はそううまくいくものではなくて、1勝2敗。むしろ、1勝できただけでも頑張ったかなと。その後も自由対局をもう一回打つと言ったのにはびっくりしましたが、そちらも勝利して、一応2勝2敗となりました。
立派なものです。
将来の夢
上位入賞陣は声を揃えて、将来は「プロになる!」と言っています。
それに合わせて、うちの長男も「プロになる!」と言っていますが・・・(笑)
入賞陣は「将来の夢は?」と聞いて「プロ」と答えます。
長男はそんな聞き方をしたら「UNOのプロになる!」と言い出しかねません。
ということで「将来は囲碁のプロになる?」という聞き方なら「囲碁のプロになる」と、とりあえず言います。親の誘導尋問です(笑)
番外
ちなみにNHK囲碁講座テキストの取材も兼ねています。
取材しながらなので、対局場の中に入って色々と質問などもしてきました。
現在のところは7月号に掲載予定です。
決勝の棋譜も掲載しようと思っています。
ちゃっかりと仕事もしています(笑)
新初段シリーズ(週間碁)
週間碁では新初段になったお披露目イベントとして「新初段シリーズ」と題して、お披露目イベントを行います。だいたいが新初段の初仕事となります。
今回は特別に「SENKO CUP ワールド碁女流最強戦2019」に出場するために来日した、台湾の黒嘉嘉七段との対局です。
そんな一流の棋士が相手にしてもらえるというのは素晴らしい経験を積めると思います。
碁の内容
リップサービスを抜きにして、まず分かることは・・・。
内容の感想
黒77の時点は互先でも黒持ちです。
左上の定石は少し黒が甘いと思います。そのあたりから流れが悪くなってきました。
しかし、個人的な意見としては、続いての黒127が疑問です。引き続き、125の意思を継続して左側(122の二路左)から攻めていくのではないかなと。
その理由は白130からの仕掛けが厳しかったからです。もちろん、130に打たれてまずいなーと思ったので、前述の疑問というところが浮かび上がってくるのです。
相手に打たれる前に気付くのと、打たれてから気付くのでは大違いです。ちょっとこのあたりでは定先でも流れが悪いです。
最後のトドメは155と157で中央の中地を囲いにいったこと。生徒さんにもよく指導しますが、中地は価値が小さいです。これではっきりと負けが確定したと思います。
初年度で10勝はお約束します。
皆さんもこの碁を並べていただいて、迫力を感じてください。
うん?並べてもよく分からない?
日本棋院で仕事でした。
お昼頃に行ったら、日本棋院の外で一力プロや富士田プロが歩いてました。
そして、そのすぐ後ろにはマウンテンバイクふうの自転車に乗った大場プロが(笑)
指導碁は井沢プロが担当していました。
自分と同じ会場には黒瀧正憲プロ、前田プロが指導していました。(ご自分の生徒さんかな?)
同じエレベーター内では小林覚プロとお話ししました。
小林プロ「サラリーマンみたいだねぇ」
日本棋院なので当然のことですが、見渡すとプロばっかり(笑)
見学に来るだけでも面白いかもですね。
囲碁会の指導をしてきました。
日本棋院に行くと色んな知り合いに出会えます(笑)
山田拓自プロとほんの少しだけ世間話をしたり。
師匠のご家族にお久しぶり~ができたり。
DISの会員さんに会ったり。
グランドパレス囲碁セミナーの参加者に会ったり。
さすが囲碁の総本山です。