・アマ名人を大関稔くんから奪取。
・アマ本因坊を獲得。
・プロ棋戦の棋聖戦にアマ枠で出場し、5連勝してCリーグに進出。
・棋聖戦Cリーグでは3勝2敗で、堂々と残留を決めました。
日本のアマ囲碁界では、すでに大活躍していた大関稔くんとツートップとして、名を馳せています。
そんな強敵を復帰戦の初戦の相手として見事に引き当てた永代さんです。
昔の私なら「さあ、やってやるか!」という気合いで臨んだと思うのですが、今回はどうだったか・・・。
対局カードに番号を記入してもらい、席に向かって目の前に栗田くんが座っているのを確認したときに・・・。
「おいおい、すごいくじ運だな・・・」とは思いつつも、特に変わった気持ちは湧き起こりませんでした。
その理由として、前回の記事で紹介したとおりに、今回は長男と一緒に出場することが大きな意味を持っていたからです。
あとは腕試し気分だったので「良い相手だし、一局打ってみるか」という平常心で対局を迎えました。
黒・栗田佳樹 白・永代和盛
碁の内容としては、黒47からの乱戦で黒が失敗。
その後は良い勝負に持ち込まれそうな感じはあったものの、全般的に主導権を握ったまま勝ち切ったという一局でした。
AIにかけて細かいところを見てさえいなければ、完勝としていい一局だったと思います。
昔だったら気合いを入れたほうが良い碁を打てたものです。
気合いが入っていると、最初の一手は手が震えてしまうほどです。
しかし、今回は全くそんなことは起こりませんでした。
年齢を重ねて丸くなってしまった現在では、こんな感じで自然体のほうが、良い碁が打てるのかもしれません。
次の2日目(6/15)ではどういう心境で臨めるのかが楽しみです。
13年ぶりに出場した個人戦はアマ本因坊の東京都予選でした。
その復帰戦でまさかの栗田佳樹くんが相手になりました。
15年以上前に1年間くらい指導してたことがあるのですが、今では立派になってアマ名人やアマ本因坊などを取るような、日本で一、二を争うような実力者になっています。(前々回のアマ本因坊タイトルホルダー)
そして、そんな相手にまさかの勝利!
このあたりはまた次回に説明するとします。
調べてみると、最後に出場していた個人戦は第7回アマ名人戦の全国大会でした。
最後の対局ですが、現在は棋士になっている鳥井裕太さんでした。
たしか、かなり優勢だったところを何か大きなミスをして後退。
その後も「緩みに緩んで半目負け」という最悪の碁を打ってしまって、引退の決定打になりました。
院生時代に勝負師としての心構えを叩き込まれたこともあり、アマ大会に出ているときもその精神は持ち続けていましたが、その精神が崩壊した瞬間でしたね。
アマなのにそんな精神でやっていて、長く持つわけがありません。
ただし、引退はこれだけが理由ではありません。
①・・・全国大会で優勝を目指すと、予選で三日間、全国大会で三日間など、ものすごく時間がかかる
②・・・大会の前日はなんとなくピリピリする
③・・・大会直後は疲労困憊で何もできず。
④・・・さらにひどいときには次の日の仕事でミス連発と影響が出る。
⑤・・・出るからには優勝したい。負けるのが大嫌い。
⑥・・・優勝以外は一回戦負けと同じという精神でいたので、ほぼ毎回が一回戦負けのようなもの。
全国大会優勝などそうそうできることではないので、チャレンジ数が必要になります。
当時は子どももおらずに、新婚旅行を先延ばしにするほどバリバリに働いていたこともあり、この状態で挑戦し続けるのは、さすがにしんどいという感じになってしまいました。
そして、翌年のアマ名人の全国大会のシード招待も断ったほどです。
それ以来は、ペア戦や団体戦などお楽しみ要素が強い大会にしか出なくなりました。
今になって考えてみると、こんな状態でよく7年くらいも個人戦に出場していたなと思うほどです。
私も40代の大台にも乗って、かなり丸くなりました。
⑤・・・対局に負けてもあまり気にならなくなりました。(勝負師としてはまずい)
⑥・・・合わせて、優勝以外は一回戦負けという精神もなくなりました。(やっぱり勝負師としていかがなものか)
①・・・日程の問題は長男と一緒に出ることで、なんとなくフォローできるし、優勝できるという自信もそうないので、日程的にもそんなにかからないだろうと(笑)
②・・・優勝を狙うような気合もないので、もう大丈夫です。
③・・・大会後は疲労困憊です。頭痛が痛いと言いたいレベルです。(体力がない)
④・・・次の日の仕事も心配です(笑)
要するに囲碁を楽しむ普通のおじさんになったということですね。
今回の出場は長男の引率がてらに、腕を試したくなったという程度のものです。
そういう自然体で無欲な感じが、復帰戦で強敵相手に勝利ができた要因かもしれません。
昔から精神面は弱かったのですが、まあ良い感じに落ち着いてきたというところでしょうか。
長男が院生に入ったら一緒にアマの大会には出られません。
その前にアマのメジャー棋戦に一緒に出場できて、さらに初日を枠抜けできたので良い記念になりました。
今後、院生に入って棋士になったら、もう一緒の大会には出られませんからね。(ぜひそうなってもらいたい)
もしかしたら今回がラストチャンスになるかもしれないということでした。(とにかくそうなってもらいたい)