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ゆったりと品のある空間で囲碁を楽しむ・・・

タグ: アルファ碁

2016年3月16日

VSアルファ碁 終戦

By igosalon

囲碁界の注目シリーズから一般の注目シリーズにまでなったVSアルファ碁が終わりました。

ネット、新聞、テレビなど各方面で大々的に取り上げていましたね。

囲碁の注目度はすごくアップしたと思います。

 

そして、結果はアルファ碁の4勝1敗。

結果はともかくとして、内容に関しては人工知能にも人間にも意義のあるシリーズだったのではないでしょうか。

 

まずはイセドル九段お疲れ様でした。

そして、素晴らしい碁を見せていただきありがとうございました。

 

そして、アルファ碁もお疲れ様・・・・と言いたいところですが、アルファ碁は疲れませんね(笑)

グーグルのスタッフの皆様、お疲れ様でした。

 

自分は今回のシリーズにかこつけて色々と意見を述べさせていただきました。

そして、そのおかげでたくさんの勉強をさせてもらいました。(囲碁の内容ではありません)

 

この熱気が覚めやらぬうちに何かしらの行動に移したいと思います。

モチベーションが高いときに、エイヤ!で動かないとですよね。

考え込んでいるとどんどんと腰が重くなってしまいますから。

 

紹介したい事はたくさんあります。

今回の事を機に順番に発表していきます!

お楽しみに!!

歴史の残るワリ込みを放たれたあとのアルファ碁は劣勢を認めてしまったようでものすごく乱れてしまいます。

コンピューターに通じている弱点としては、形勢が悪くなってからの打ち方は滅茶苦茶になってしまうということ。

実際に終わり際の棋譜を見た方なら分かります。

ひどいな・・・と。

万波奈穂プロも最後のほうの棋譜については

万波プロ「(終わり際の数手を見ながら)何これ?かわいいね」

かわいいねの意味は、棋力的には10級くらいのヨセをしていたという意味です。

世界最強クラスのイセドル九段相手に3連勝していても、形勢不利で乱れるとこんなになるのねということです。(コンピューターの性質上)

その場にいたお客さんと一緒に話をしていた結果、

「勝つためのプログラムは徹底しているけれど、負け方のプログラムは勉強していないんだね」

と結論づけました。

この点に関してはツイッターで伊田十段も

「弱点をつかれるとボロボロになるのか。まだ人間が抜かれたとは言えないね」
とつぶやいています。

伊田十段は形勢が悪いときの打ち方は人間のほうが優れていると言いたいようです。

このあたりの認識は全員で一致しそうです。

実は書き残しがあったのですが・・・。

自分が家に戻ってから小田に興奮冷めやらぬ状態で歴史に残るワリ込みを説明しました。

小田「へー、そうなんだ」

と最初は聞いていたのですが、途中から・・・。

小田「ここはこう打ったらどうなるの?」

と何連発かしてきました。

いくつかは読めるものの、全ては答えきれません。

小田「本当にワリ込みのあとは手になってるの?」

永代「あのイセドル九段だよ!読み切っていない手を打つわけがない!きっと何かあるんだ!」

小田「ふーん、他の手がどう考えても駄目だからとりあえず打ったんじゃないの?ここが一番、紛れそうとか?全部読めていたのかなぁ?」

と言い出す始末。

何とあのイセドル九段を疑っているのです。

自分はイセドル九段が好きで院生時代にはまって並べていた時期もあります。

イチャンホ九段のがっちり勝っていく棋風に比べ、イセドル九段はカミソリのようにスパスパと切っていくような棋風に感銘を受けていました。(いつかブログで書きました。)

そんなイセドル九段が読み切っていない事はないと思っていたら・・・・。

ネットからニュースが少しずつ出てきました・・・。

「韓国の研究では手はなかったのではないか」

「イセドル九段が確信はなかったがもうそこ以外にないと思ったとコメントしている」

「エラー(バグ)を呼んだ一手」

などと・・・・(都合が悪いので以下省略)

世界中でワリ込み後の変化は研究されていると思うので、もう少ししたら真相は解明しそうですが・・・。

某棋士の意見頑張れ~!!!

 

最後に

グーグルは世の中の役に立つ技術を開発するために、人工知能を鍛えようとしています。

人工知能を鍛えるツールに囲碁が最適と判断されたとは何度も書いていますが、今回はまさに人工知能の弱点を発見できたのではないでしょうか。

簡単に言えば、

コウに弱い=複雑化しやすい状況では先を見通しにくい
妙手を打たれると弱い=データにない事に対して弱い
形勢が悪いと乱れる=目的の達成ができなくなるような可能性の高いアクシデントが起きると、その後の収拾がつかない

などなど。

イセドル九段の一発により、色々と改善点が見えてきたのではないでしょうか。

これが囲碁界だけでなく、世の中の貢献になるシリーズとなる事を心から願います。

 

今日は5局目で最終戦ですね。

もう少し続いてほしい気持ちもありますが、どうなるか楽しみですね。

2016年3月14日

アルファ碁の第四戦

By igosalon

イセドル九段が1勝をあげました!

正直なところ、第1戦が終わったときは5連敗すると思っていました。

なので、3戦目(3敗目)のときはブログとしてはスルーしました。

スルーしたくてしているわけではありませんが、この気持ちを文章で表現するのは難しいと思いました・・・・。

 

まず、今回はイセドル九段にありがとう!と言いたいです。

これは人類を代表したイセドル九段ではなくて、イセドル九段個人に素晴らしい内容の上に、結果までつけたことについてです。

これは人類の夢ではなくて、一棋士としての盤上での表現にとても感銘を受けました。

 

何の事かは棋譜を見た方なら言わなくてもと言ったところですが、この・・・。

1図

arufa1

ワリ込みですよね!

これは歴史に残る一着だと思います。

幽玄の間の解説をしていた三村智保プロはもう1図(白1の前)の状況では白が厳しいです。

と敗色濃厚と取れるコメントを出していた直後のことだったのです。

起死回生の一着ということがまずはこのワリ込みの魅力をアップさせています。

2図

arufa5

実戦は続いて2図のようになり、白6がAとBを見合いにした絶妙手。

この絶妙手をワリ込みの段階から見ているということも魅力アップの要因です。

ここで黒地が破れては勝負が決まりました。

 

昨日は永代塾囲碁サロンで万波奈穂プロが指導碁会をしてくれていました。

そこで、指導碁会が終了したころには勝利が決まっていて、この歴史に残る一手がツイッターなどを中心に騒がれまくっていました。

万波プロ「永代くん、これは黒2と打ったらどうなるの?」

万波プロは修行中のときのような感覚で突然、こう言いました。

3図

arufa7

永代(ええ~、碁の内容を聞かれても・・・。自分はもう引退してるのに・・・)

イセドル九段がこの鬼手で勝ちをもぎとったとどこにでも書いてあるので、どう対応しても黒が困るという勝手な思い込みがありました。

ここで

永代「これで黒がツブレじゃないのかな?」

4図

arufa3

白3から5が綺麗な手筋で白11までとなると綺麗に黒がツブレです。

腕に覚えがある人(院生クラス又はそれ以上で棋士も含)はこの図がぱっと浮かんでしまい、素晴らしい決め手を用意した白1だったと即断してしまいます。

しかし・・・。

5図

arufa8

万波プロ「白7のアタリには利かないよ。黒8と打ったら?」

とさらっと言ってきました。

自分は万波プロは天才だと思いました。

最近はよく書いてますが、言われてみれば簡単だけど、自分で思いつくのは一生懸かってもできないという部類の手です。

こういう手をぱっと思いつくのがプロなのです。

その後も自分はあーだこーだと4回くらい案を出しましたが、全て万波プロにシャットアウトされました・・・・。

万波プロが疑問(正解が現時点では分かっていない)に思うような事を自分が分かるはずがないということに、質問された時点で気付くべきでした・・・。

 

最後のほうは皆で、手はないんだけど、コウの変化図狙い(黒が駄目だがコウにする)で、コウの弱いアルファ碁の弱点を狙った奇襲作戦だ!などと言い出すしまつです・・・。(イセドル九段の手はうそ手だと言っているようなもの・・・・)

アルファ碁がその後の対応を誤ったのは、ワリ込みは駄目な手だけど、珍しい手を打てばアルファ碁が間違うのではないかというイセドル九段の盤外作戦が功を奏したのではないかと。

(棋士は基本的に相手の間違いを期待するような手は邪道と感じています。もちろん、微妙なラインのときはどんどんとやりますが。)

 

ここで自力で問題解決をするのを諦め、ツイッターを確認します。

ワリ込みを歴史に残る一手のようにはやし立てている一方、なぜ鬼手なのかということを書いている人は誰一人いません。

なので、自分でつぶやいてみました。

永代「黒2と打たれたらその後が読めません。誰か教えてくださいと」

そうするとプロもインストラクターも口を揃えてまずは2図のツブれコースを提示してくるのです。

ここで自信満々に万波プロの返し技を自分が思いついたかのように返します(笑)

皆、これで撃沈してしまいます。

ある程度の腕になると、この筋がぱっと見えてしまい、イセドル九段が打ったこともプラスされて、そこで読みをやめてしまうのです。

またさらにここでワリ込みの魅力が大きくアップするのです。

5図のこの後の変化は分かりません。

でも、もしからしたら白のツブレという可能性もあります。(後日の研究結果待ち)

そして、某棋士の情報で・・・・。

6図

arufa9

白の大部分は捨てて、上辺を少しだけツキ破る。

そして、白15に回るという意見がきました。

これで白が優勢と言わんばかりに・・・・。

自分は棋力がないので、この情報を信頼します!

ここを解説するのは難しいですが、とても素晴らしい流れです。

「手をつける=真ん中の白を生き、又はコウ」

というのが普通の発想です。

しかし、6図は先手で10目くらい荒らせば白15で勝てるでしょという、形勢判断に基づいた作戦なのです。

柔軟な発想ですね。

なぜ白1を打たないといけなかったのかは疑問に思いますが、それはこれから情報が出てくるにつれて明らかになるでしょう。

とにかく、盤上では出てきていない変化に対してもプロが苦戦するような読みで勝負し続けているということです。

 

まとめに、私は今回の企画では内容は特に気にしていませんでした。

簡単に言えば結果重視です。

でも、この一局ばかりは内容に触れられずにはいられません。

自分が重視したいのは、勝ったということは二番目に大事なことで、この妙手で決めたというのが一番大事だと思っています。

劣勢に立たされたイセドル九段。

優勢になったら、もう絶対に負けないと言われていたコンピューター。

その常識を覆した瞬間なのです。

①人間にこんな短期間で勝てるようになるわけがない

②コンピューターが逆転されるわけがない

この二つが一気に覆されたシリーズです。

結果以上に重要視しなくてはいけないことではないでしょうか。

コンピューターは結果では勝った。

でも、内容では人間が勝る部分も残っている。

常識が通用しない世界というのは本当にワクワクしますね。

この攻防は世界トップクラスでしかできないと考えます。

ラスト一局もまた常識が覆されるような一局になるのか。

とても楽しみです。

 

今回は盤上の事を書きましたが、またすぐに盤外での事をまとめたいと思っています。

今までの日記ですが、文章力が未熟だったので変な方向へ感じ取ってしまった方も多いかもしれません。

そのような方にはお詫びを申し上げます。

私が伝えたい点を要約すると・・・。

①技術面に比重を置いている棋士、又は院生などは絶対的強者が現れたときに精神面でつらいのではないかと。自分がこの世で一番強くなってやるという気持ちを持っているのが棋士だと思っています。院生経験者の私はその気持ちでプロを目指していたこともあります。なので、そのような棋士をずっと応援し続けたいと思うし、応援していきます。さらに棋士を目指して夢破れた人達も応援し続けたいです。どの世界にいたとしても私の仲間です。

②アルファ碁の活用方法については、棋士が相手を絶対的強者と認めるのはつらいと思うのです。それを棋士が技術面であえて活用するのは精神的な負担にならないかと心配しています。

③地方の子供達への活用については、プロを目指す子供達限定のお話です。入門教室や囲碁塾感覚の子供達は技術に比重をおかずに、囲碁の盤上も盤外も含めて楽しんでもらいたいです。棋士を目指す子供達にそんな余裕があるのか・・・。時間的な制約(プロ入りの年齢制限)があるなかで、スピードアップをしなくてはなりません。効果的に使ってほしいという提言でした。

④東京などの都市部についての囲碁指導は今のやり方のほうが優れていると思います。同年代の子供達を集めて、ライバル心をあおって、切磋琢磨する。これが棋力向上プラス人間力を高めるうえでも有効だと思うので一石二鳥です。地方には残念ながらプロ棋士を目指す子供に対して技術的な囲碁指導をできる人は少ないと思います。(全くいないというわけではありません)田舎から事情があって上京できない子供達はたくさんいます。都市部と田舎のハンデを少しでも埋めるためにもアルファ碁を使ったほうがよいのではないでしょうか。どっちかを取るというわけでなく、どちらもやって共存していけばよいのではないでしょうか。

⑤最後に

正直なところ、アルファ碁が無料で手に入るわけでもないし、プログラムをもらってもCPUの問題でこれほど強いソフトは一般家庭では再生できないでしょう。

私が提言したいのは、これをきっかけに囲碁界の常識を破って、新しい世界に挑戦してほしいというのが本心でした。

実現性が低いことを言ってしまい、申し訳ないという気持ちは大きいのですが、皆様にアルファ碁というきっかけを通じて新しい世界に挑戦してほしいんです。

私としてはきっかけはアルファ碁でなくても良いんです。

囲碁界が盛り上がって、子供達がプロを目指せる環境が整い、大人たちがそれを見守り、大人たちも囲碁を楽しみ・・・・。

そんな理想の囲碁界を目指して動いているつもりです。

自分も微力ながらできる事を頑張ってやっていきたいと思います。

皆様、一緒に進んでいきましょう。

子供達を支え、大人達も楽しみましょう。

それが願いです。

2016年3月11日

アルファ碁の活用方法の提言

By igosalon

昨日、人類VSアルファ碁の第二戦目が行われ、アルファ碁の二連勝となりました・・・・。

昨日の日記に書いたとおり、もう歴史が動くという一局ではないですが・・・。

もう結果に一喜一憂している場合ではないですね。

囲碁界の人間(業界人)は今後の身の振り方を考えなければいけません。

どうやって今回の事をプラスに持っていくのか。

 

「プロを目指す子供は地方にいても、実力向上ができる」

アルファ碁のプログラムを公開してくれる前提とはなりますが、まずは上記を集中的に分析したいと思います。

 

技術面の向上はアルファ碁とひたすら対局をしていればいいと思います。

内容も筋が良く、これまでのコンピュータのような無機質な手ばかりではなくなっています。

アルファ碁は自動学習能力があるので、全く同じ局面はほとんど作らないでしょう。

当然、プロ棋士に指導碁を打ってもらっているのと変わりはありません。

このままいけば、世界チャンピオンクラスの打ち手よりも優れているという事が証明されそうなくらいですから・・・。

 

しかし、アルファ碁は、局後の検討をしてくれません。そこをどうするか。

それは子供達が自分で考えて、結論を出せばいいのです。

プロを目指すような子供達はそれができなくては、プロになる資格はなくてもしかたがないと思います。

 

囲碁は新しい手(良い手である前提)を打つ事が非常に難しいゲームです。

井山さんが絶妙な手を打ったとします。

自分(永代)でもその打った意味が後々などでも、理解できる事もあります。

要するに、アルファ碁の打った手を後追いでも良いので研究していけば良いのです。

言葉などは必要ありません。

打った手だけを見つめていればいいのです。

それこそが囲碁が「手談」と表されるゆえんではないでしょうか。

 

技術面では実力の伴ったインストラクターなどは必要がなくなります。(大人の指導は別です)

自分としては子供囲碁塾のインストラクターをしているので、仕事を奪われツライ立場ではありますが実際にそうなりそうな事は認めるよりありません。

 

しかし、コンピューターにもできないところがあります。

 

感情です。(今のところはない、後々は分かりませんが)

 

コンピューターには感情面や礼儀(マナー含)を教えることはできないのです。

そこでやっと人間の登場です。

棋力は全く必要がありません。

それよりも精神的なケアに長けている人が重宝されるようになります。

 

言い換えてみれば、囲碁の実力よりも人間力を重視することになります。

これにより誰にでも子供囲碁塾の講師にチャレンジできる可能性が広がったのです。

子供の囲碁指導の幅が広がったという事を提言したいと思います。

 

グーグルの皆様、是非、アルファ碁を囲碁界の進歩のために頂戴させてください!

グーグルのAI囲碁開発は、囲碁で世界一を取るのが最終目標ではありませんよね。

人工知能を鍛えるために囲碁が最善のツールという事を発表しているので、通過点ということです。

なので、そこまで囲碁に本気でどうこうというわけではないでしょう。

囲碁ソフトの特許を取って、販売して儲けようという次元の会社ではありません。

意外と実現性は高いのかもしれないと勝手に考えています。

何と、初戦からイセドル九段が負けてしまいました・・・。

世の中の9割9分くらいの人達が予想もしていなかったでしょう。

 

この一敗で歴史が動きました。

この一敗を持ってしては、今後はどちらが勝ち越すというのはそんなに大した意味を持たないような気がします。

イセドル九段が踏ん張って、逆転勝利をしたら人類側の威厳が少し保たれますが・・・。

半年後に再戦したらそれも終わりの可能性が高いです。

 

これに囲碁界の関係者はかなりのショックを受けているでしょう。

棋力の強さや、囲碁に入れ込んでいる具合が大きい人ほど・・・。

特に勝負の世界に比重を置いている棋士はショックが計り知れないかと・・・。

今後は少し価値観を変更しないといけないところまで来たようです。

 

①勝負の価値観をVS人間に限定する

②AI囲碁から囲碁を習う

③AI囲碁を使ってエンターテイメント性を拡大する

 

棋士や院生などの専門家達にとってみれば、①と②は苦渋な決断(精神面の話)も含む、すごい方向転換でしょう。

しかし、囲碁ファンからとってみれば多少のショックはあるものの、楽しみな面もあるでしょう。

囲碁の楽しみ方の幅が広がるのではないでしょうか。

勝負の世界の素晴らしさが失われるだけではありません。

感情面も含めての勝負観に魅了されている囲碁ファンは多いのです。

良いところはそのまま残して発展性のある場所を伸ばしていきたいものです。

 

昔から「ピンチのあとにはチャンスあり」という言葉もあります。

囲碁界を活性化させるチャンスでもあるのです。