星にカカったあとによく出てくる「ツケノビ定石」と「ツケオサエ定石」があります。
どちらもツケから始まる定石ですが、その後の考え方は正反対です。
ツケノビ定石は、お互いに良い形を作りながら、その働きを競う定石。
反対にツケオサエ定石は、お互いに悪い形を抱えながら、相手により悪い形にしてしまおうという定石です。
今回は二つの定石を石の形から比べてみたいと思います。

黒1と白の星にカカってきた場面です。
白には、図のAからDなどさまざまな打ち方から始まる定石がたくさんあります。
今回は「良い形を競う」と「悪い形を競う」という意味がどういうことかを説明するために、白Dのツケをやってみます。

白2のツケに黒3とハネ、白4のノビは好点(好形)です。
この白2、4の動きをツケノビと言います。
全体的にツケノビで始まる定石ということで「ツケノビ定石」と呼ばれています。
その後、黒5、白6とお互いに自分の形を整えていくのがツケノビ定石です。
黒7まで進むと、上辺で黒の勢力を確保して、黒の陣地も見込めそうです。
反対に白も右上隅はしっかりとしていて、白の陣地も見込めそうです。
黒には黒の良い形があり、白には白の良い形があります。
ツケノビ定石は、お互いに良い形を作り、その働きを競う定石と言えるでしょう。

白2のツケ、黒3のハネに対して、白4とオサえる動きをとって「ツケオサエ定石」と呼ばれています。
このあとは、黒5のアタリに白6とツギ、白の形はアキ三角ができて愚形です。
対する黒は、黒5で気分が良かったのも束の間、白からAとBの切りを狙われています。
ツケノビ定石がお互いに良い形を作る定石なら、このツケオサエ定石は、お互いに何らかの悪い形(傷など)を抱えながら進む定石です。
自分の形をきれいに整え合う定石もあれば、相手にどのような悪い形を残すという定石もある。
なんだかいろんな定石があって面白いですね。
ここでの形はレッスンでよく出てきています。
ツケノビ定石は、お互いに良い形を作りやすい定石ですが、対応を間違えると自分よりも相手により良い形を与えてしまいます。
黒5が遠慮して守りすぎた一手で、白6と絶好形を与えてしまいます。
白には弱点のないカケツギの形のうえに、白地も最大限に獲得できそうです。
白としてはこんなに夢のような形はありません。
レッスンでは定石の意味も説明しながら、なぜ良かったのか、なぜ悪かったのかという本質的なところを理解してもらうようにしています。
意外と定石失敗したあとのことを解説しているものは少ないですよね。
レッスンなら何でもござれですよ!(笑)
ツケノビ定石は、お互いに良い形を競う定石。
ツケオサエ定石は、お互いに悪い形を競う定石です。
同じツケから始まっても、その後に目指しているものは正反対です。
囲碁は相手に勝てば良いゲームです。
相手が良い形でも、それ以上に自分が良い形なら優勢になります。
逆の意味では自分が愚形になったとしても、相手がもっとひどい愚形だったら優勢になれます。
よく「この手は好形だから打った」ということを見かけます。
このように自分の視点だけでは、良い判断だったかどうかはわかりません。
良い形や悪い形にこだわらずに、常に相手の形と比べて優劣をつけていくのが大事です。
なぜこういう説明をしたかと言いますと、レッスンでよく出てくるということもあるのですが…。
単純にどっちが悪い形(にさせるか)かを競うという表現が面白いので、ブログに取り上げてみました(笑)