今回は武蔵小杉で行った教室の講義を紹介します。
内容は級位者向けとなります。
前回の有段者向けの記事はこちら↓
テーマ図(白番)
基本的な考え方を学ぶだけなので、テーマ図の手数でも十分です。
白番でA〜Dを候補にしました。
すべて星にしたのは、同じような場所だけど「周りの状況によって意味が変わってくる」ことを説明したいからです。
これを見て、どこに打ちたいと思いますか?
今回は正解がここ!というのではなくて、考え方を学んでもらいます。
「大場」
陣地や勢力が広く取れそうな場所。
序盤(布石)では、大場の数は多く、そこまで緊急性は高くない。
「急場」
戦いが起きており、緊急性の高い場所。
布石終わり〜中盤の戦い(接近戦)に出てくることが多く、お互いに最優先する。
「大場より急場」
この格言が囲碁においていちばん大事な考え方です。
下記のように戦いに関することが多いです。
・弱い石を攻める・守る
・強い石の近くに打たない、相手を強い石の近くへ追い込む
今回のテーマでは急場がありませんので、大場の方向性をどのように考えるかだけを学びます。
Aの左辺・・・白2と白4の間を数えると11間の幅。
Bの下辺・・・白2と黒3の間を数えると11間の幅。
Cの右辺・・・黒3と黒1の間を数えると11間の幅。
Dの上辺・・・白4と黒5の間を数えると10間の幅。
「広さ比べ」
上辺の幅がいちばん狭いので「Dの上辺だけにマイナス要素」があることになります。
幅が同じときは「高さ」を見ましょう。
高さをどのように考えるかを説明します。
Aの左辺・・・左から見て白2が四線、白4が四線なので、平均して四線。
Bの下辺・・・下から見て白2が四線、黒3が四線なので、平均して四線。
Cの右辺・・・右から見て黒3が四線、黒5が五線なので、平均して四・五線。
Dの上辺・・・上から見て黒5が三線、白4が四線なので、平均して三・五線。
これで「Cの右辺がいちばん高い」ことが分かります。
陣地は四角形の面積と同じなので「幅 × 高さ」で考えましょう。
そうすると「Cの右辺がいちばん大きい陣地になる可能性が高い」のです。(あくまで期待値)
これらの判断材料は、あくまで一つの材料にすぎません。
実戦では、さまざまな基本的な考え方をもとに材料を洗い出し、総合的に判断することになります。
今回のケースについても、必ず白Cに打つという断定ではなくて「方向性として右辺が中心」になりそうだということで理解していただければと思います。
大事なのは知識ではなくて「知識をどう使うかという応用力」ですからね。
次回は盤上の技術面ではなくて、考え方を説明します。
勝率を上げるためには、様々な基本的な考え方をマスターしていくのが、いちばんの近道です。