小中学生の囲碁大会(全国大会)で最も歴史が長いのが、上記の少年少女囲碁大会です。
「個人戦」は1980年に始まって、これまでに45回の開催を数えます。
(毎年夏休み中に開催されており、今度の8月で第46回となります)
歴代優勝者を見ると、たくさんの棋士を輩出しており、中には井山裕太プロなどのタイトル獲得者も見受けられます。
本大会は囲碁棋士への登竜門となっており、ガチ勢の子ども達にとっては一番の目標となっている伝統的な子ども囲碁大会です。
上記のように、2004年には同じ学校内で3人1チームとする団体戦も開始しました。
アニメ「ヒカルの碁」でも出てきましたが、学校別の団体戦は燃えるものがあります。
個人戦は圧倒的に強い子しか全国大会には出れませんが、団体戦ではそんなこともありません。
どちらかというと、チーム全体の平均値をいかに上げるほうが重要なので、誰にでも全国大会に行くチャンスがあります。
そして、団体戦は囲碁普及的にも大きな意味を持ちます。
個人戦で成績が振るわないと、全ての責任が自分のみに降りかかることから、かなり辛いものがあります。
しかし団体戦なら、勝っても負けても同じ思いを共有できる仲間がいます。
楽しくないはずがありません。
囲碁を続けたいと思う動機にもつながるでしょう。
さらに、チームメンバーが足りない場合は、同級生に囲碁を始めてもらって参加する‥‥という光景も見られて、純粋に囲碁人口増加に貢献します。
ヒカルの碁でも似たような場面がありますよね。
個人的には囲碁普及をしていくためには学校別などは問わず「団体戦が大きなカギ」になっていくと思います。
囲碁普及に多大な期待を寄せている団体戦でしたが、コロナの影響もあり、2020年からは中止となっておりました。(個人戦は2020年のみ中止)
さらにはコロナが落ち着いた時期となっても再開のメドは立たず...。
やはり予算的な影響が大きいのでしょう。
ここにも日本棋院の財政不足が響いています。
子ども関係の予算を削るようでは、ジリ貧になってしまい、将来性が見通せません。
はっきり言って本大会は無理してでもやるべきであり、開催しないのは悪手と感じていました。
そして、やっと朗報が入ってきました。
今年から団体戦が復活したのです。
これは、どう見ても「武宮陽光新理事長」や「関達也常務理事」など、新理事メンバーの活躍の成果です。
本当にグッジョブです。
新メンバーの方向性にはとても共感なので、これからも応援していきたいと思います。
でも、一つだけびっくりしたことがあります。
それは、全国大会の出場選手に交通費などの補助金がなくなったことです。
これは本当に衝撃です。
実は囲碁界では、全国大会に出場する選手(一般大会でも)には、多くの場合で交通費や宿泊費の助成があります。
他の業界でアマがこのような待遇を受けるというのは、珍しいことでしょう。
それでも、囲碁界の良き文化で、誰でも全国大会を目指せる環境にあったというのは普及に大きな貢献をしていたと思います。
それが今回は補助がなし・・・。
たしかに団体戦は1チームで3人もいるので、補助を出すとしたら3倍になるというのは厳しいものがあります。
財政難の日本棋院が団体戦の早期復活ができなかった理由でもあるでしょう。
今回の問題で今後の大会運営、特に資金面で色々と考えなくてはなりません。
・今回の団体戦のように交通費補助なしで全国大会開催
・これまでどおりに交通費補助ありで全国大会開催
もちろん、できるならこれまでどおりに補助があっての開催がいいに決まっています。
しかし、今回のように補助あると無理だけど、補助なしなら開催できるということも増えてくると思います。
これは今後、日本棋院の交渉力が問われていくでしょう。
最善策、次善策ということで頑張ってもらいたいと思います。
交通費補助なしの全国大会は開催場所に近い地域が有利です。
今回の全国大会会場は東京の日本棋院本院ですから、関東地方が有利です。
人口の問題があり、ただでさえ関東地方は強いですが、ますます…。
とはいえ、個人的には不公平感があったとしても、開催できるほうが良いと思います。
長崎県出身なので、地方の辛さはよく分かります。
それでも、中止のままよりは開催したほうがいい。
開催を続けることによって、新たなスポンサーを獲得できて、補助復活も狙いやすくなります。
地方は我慢ばかりとなりますが、それを糧として努力する原動力にもなり得ます。
(実際に囲碁棋士になるための修行は、遠いところから来たほうが覚悟が決まりやすい)
色々と問題は山積みですが、今回の開催は本当によかったと思います。
今後ともこの動きを応援していきたいと思います。