前回の記事はこちらです。
今回は日本棋院の費用面を見ていきます。
これらの情報ですが、私は日本棋院の外部の人なので、確実な情報ではないかもしれません。
あくまで個人的な見解で、参考程度の情報ということでご承知おきください。
事業報告や決算報告は日本棋院のサイトをごらんください。
① | 棋院の維持費 |
② | 職員の人件費 |
③ | 棋士の人件費 |
④ | 囲碁普及活動 |
※(永代調べ)
【 東京本院 】
日本棋院は昨年に「創立100年」を迎えましたが、現在の市ヶ谷にある東京本院は約55年ほど前の1971年に建てられました。
55年も経つとさすがに老朽化も進んでいて、毎年のように設備修理費などで多額な出費があります。
特に配管系のメンテナンス額がすごいとか・・・。
メンテナンスだけでなくて、貸室のリフォームなどもやってほしいところですが、そんな余裕はないでしょう。
【 中部総本部 】
実は東京本院だけでなく、中部総本部のビルも1973年に建てられていて、老朽化が進んでいます。
実際に行ったことがないので噂レベルの話とはなりますが「東京本院よりも先に、何かしらの対応策が必要だ」との声も…。
そのうえ、最近の物価高による経費高騰…。
電気代も上がっているし、何をやっても費用が高くなっていますよね。
もう、あちらこちらで悲鳴が上がっています。
【 関西総本部 】
こちらは賃貸かな?
あまり情報はありません。
【 有楽町囲碁センター 】
こちらは八重洲囲碁センター時代から引き続きの、賃貸です。
昔は客足も順調で、経営も良好だったと聞いております。
しかし、コロナ直撃のあたりから怪しい雲行きに…。
閉館が常に視野に入っている状況なのは間違いないでしょう。
私には聞いた話でしかない伝説のバブル時代。
「囲碁人口が1,000万人を超えていた」らしく、景気の良いバブル時代も合わせて、お金が余りに余って絶頂の時期だったでしょう。
職員も時代に合わせたそれなりの給与体制になっていたようです。(時代的に他の業界も同様だと思うので相対的に高かったかは分かりませんが)
しかし、そこをピークに囲碁人口は減少を続けていきます。
日本棋院の収入源に合わせて給与体制も見直されて、一時期に大量リストラがありました。
現在の若手正職員の給料は、聞いた感じだと他の業界よりもはっきり安いと思います。
ここは「メスの入れようがない」と予想します。
ちなみに中堅職員以上のお給料は情報がないので分かりません。
予想ですが、圧倒的な人手不足に陥っているようなので、そんなに高いという感じもないのかなと思います。
職員側の人件費はカットできる余地はそんなにないのではないでしょうか。
もし、できるとすれば業務効率化のシステム構築を図るよりなさそうです。
【 棋士の固定給 】(段位や年数、昔の実績の考慮)
ここは私の年代より少し上のあたりを境にして、年代が下の棋士に対して明らかに「不公平な格差」が生まれているそうです。
基本給に関しては法律の厳しい範囲内になるので、既得権としてさわりにくいのでしょう。
ただ、財政難ということで棋院が潰れるという事態が想定されるのあれば、背に腹は変えられずに改定もあることでしょう。
現状で個人的な意見を言わせてもらうと、基本給は何もしなくてももらえる分ですが、対価として額に合わせた囲碁普及活動をするべきだと思います。
額が多い人から順に、たくさんの囲碁普及をするというのは当然のことだと思います。
【 社会保険料を負担 】
棋士も社会保険に加入しているようです。
色々とゴタゴタもあるようですが、詳細は不明です。
棋院側も一定額の社会保険料を負担しているものと思われます。
もしかしたら、この部分は全てを解除して負担0にできるかもしれません。(法律との兼ね合いあり)
【 対局料 】
こちらはスポンサー収入の中から運営費を差し引いて割り振っていると思います。
割り振り方は棋戦ごとに決まっており、詳細は分かりません。
スポンサーと棋院の交渉次第ということでしょう。
ただ、年々対局料の単価が減っていると聞いています。
関達也常務理事のXのポストでは、入段当初から大幅減(半分くらいだったかな?忘れましたが)になっているとか…。
まぁ、半分くらいになっていても不思議ではありません。
今後も減り続けていくでしょう。
さらには、スポンサーが「もう棋戦辞める」という事態もあり得ます。
現に本因坊戦は存続自体も危なかったようですから…。
私の今後の予想としては、棋譜が掲載されない予選には対局料が払われないようになると思います。
イメージとしてはベスト64から対局料が発生するという感じでしょうか。
韓国では一部、このような動きもあるようです。
【 退職金や棋士年金 】
こちらもなかなかの額を積み立てているようです。(貸借対照表の引当金に当たると思います)
詳細は分からないので、何とも言えませんが、財政難であればカットの対象になるかもしれません。
これも法律面との相談にはなるのでしょうか。
【 棋士への人件費まとめ 】
もうこの分野は正直、ややこしすぎてブラックボックス化しています。
一つ言えるのは、この分野で棋院の費用を削減すると、棋士の収入が減るということです。
話題になっている「新規の囲碁棋士採用人数を減らす」、このあたりも経費節約策ということになるのでしょう。
あまり良いこととは思えませんが、収入の規模に合わせた費用ということはあるので、仕方のない部分もあります。
(指導碁や教室などではなく、純粋な囲碁普及が前提)
【 入門教室の拡充 】
これが一番の課題です。
未就学児、小中学校、高校や大学など、子どもたちへの普及が急務です。
さらには会社の囲碁部への普及なども有力です。
既存の囲碁ファンからはしっかりとお金をいただき、入門教室など新規開拓のほうへ資金を回すという流れにするよりないと思います。
そして、ご新規さんをしっかりとした囲碁ファンに育てて・・・。
その繰り返しですね…。
最近の動きで「小学校への棋士派遣をカット」したり、ここの予算を減らしていくのは、急所を逃していると思います。
【 広報 】
ここが明らかに弱いです。
囲碁の素晴らしさを世に伝えないといけないのですが…。
これはTVにCMを流すようなイメージで、お金をかけなければいけない方法も多いでしょう。
もちろん、SNSや動画を駆使して無料でできることもあると思います。(それでも制作費や人件費はかかる)
棋院は圧倒的な人手不足ということなので、棋士と職員が力を合わせて、やれることをやっていくしかないですね。