歴史の残るワリ込みを放たれたあとのアルファ碁は劣勢を認めてしまったようでものすごく乱れてしまいます。
コンピューターに通じている弱点としては、形勢が悪くなってからの打ち方は滅茶苦茶になってしまうということ。
実際に終わり際の棋譜を見た方なら分かります。
ひどいな・・・と。
万波奈穂プロも最後のほうの棋譜については
万波プロ「(終わり際の数手を見ながら)何これ?かわいいね」
かわいいねの意味は、棋力的には10級くらいのヨセをしていたという意味です。
世界最強クラスのイセドル九段相手に3連勝していても、形勢不利で乱れるとこんなになるのねということです。(コンピューターの性質上)
その場にいたお客さんと一緒に話をしていた結果、
「勝つためのプログラムは徹底しているけれど、負け方のプログラムは勉強していないんだね」
と結論づけました。
この点に関してはツイッターで伊田十段も
「弱点をつかれるとボロボロになるのか。まだ人間が抜かれたとは言えないね」
とつぶやいています。
伊田十段は形勢が悪いときの打ち方は人間のほうが優れていると言いたいようです。
このあたりの認識は全員で一致しそうです。
実は書き残しがあったのですが・・・。
自分が家に戻ってから小田に興奮冷めやらぬ状態で歴史に残るワリ込みを説明しました。
小田「へー、そうなんだ」
と最初は聞いていたのですが、途中から・・・。
小田「ここはこう打ったらどうなるの?」
と何連発かしてきました。
いくつかは読めるものの、全ては答えきれません。
小田「本当にワリ込みのあとは手になってるの?」
永代「あのイセドル九段だよ!読み切っていない手を打つわけがない!きっと何かあるんだ!」
小田「ふーん、他の手がどう考えても駄目だからとりあえず打ったんじゃないの?ここが一番、紛れそうとか?全部読めていたのかなぁ?」
と言い出す始末。
何とあのイセドル九段を疑っているのです。
自分はイセドル九段が好きで院生時代にはまって並べていた時期もあります。
イチャンホ九段のがっちり勝っていく棋風に比べ、イセドル九段はカミソリのようにスパスパと切っていくような棋風に感銘を受けていました。(いつかブログで書きました。)
そんなイセドル九段が読み切っていない事はないと思っていたら・・・・。
ネットからニュースが少しずつ出てきました・・・。
「韓国の研究では手はなかったのではないか」
「イセドル九段が確信はなかったがもうそこ以外にないと思ったとコメントしている」
「エラー(バグ)を呼んだ一手」
などと・・・・(都合が悪いので以下省略)
世界中でワリ込み後の変化は研究されていると思うので、もう少ししたら真相は解明しそうですが・・・。
某棋士の意見頑張れ~!!!
最後に
グーグルは世の中の役に立つ技術を開発するために、人工知能を鍛えようとしています。
人工知能を鍛えるツールに囲碁が最適と判断されたとは何度も書いていますが、今回はまさに人工知能の弱点を発見できたのではないでしょうか。
簡単に言えば、
コウに弱い=複雑化しやすい状況では先を見通しにくい
妙手を打たれると弱い=データにない事に対して弱い
形勢が悪いと乱れる=目的の達成ができなくなるような可能性の高いアクシデントが起きると、その後の収拾がつかない
などなど。
イセドル九段の一発により、色々と改善点が見えてきたのではないでしょうか。
これが囲碁界だけでなく、世の中の貢献になるシリーズとなる事を心から願います。
今日は5局目で最終戦ですね。
もう少し続いてほしい気持ちもありますが、どうなるか楽しみですね。