日本の伝統芸能には「道」という言葉がよく使われます。
たとえば、囲碁や将棋は「棋道」、お茶は「茶道」、花は「華道」、そして「柔道」などもそうです。
最近、オリンピックで柔道の試合を観ていて、ふと思うことがありました。
「柔道」と「JUDO」は違う、と言う人がかなりいるのです。
最初は何のことかと思いましたが、話を聞いてみると、道着の色や畳の色、さらには試合後の態度に違いがあるとのことでした。
特に印象的だったのは、試合後に感情を抑えるのが「柔道」だという点です。
そこで、あることに気が付きました。
囲碁でも、勝ったあとにガッツポーズをする人はいません。
むしろ、勝者は敗者への配慮を見せることが多いくらいです。
このような違いを考えると、囲碁も「GO」と「棋道」に分かれつつあるのではないか、という仮説が浮かびました。
盤面の外側の要素に力を入れ、現代のスポーツのようにライトな普及を目指すのが「GO」。
一方、昔ながらの日本の伝統を大切にするのが「棋道」です。
私自身は、基本的には「棋道」に根ざしていますが、囲碁の普及にも取り組んでいるので「GO」の側面も取り入れています。
いわば「中道派」と言えるかもしれません。
私が「棋道」一本から「GO」にも目を向けるようになったのは、時代に合わせなければ日本の囲碁人口は減ってしまうと感じたからです。
実際、フランスでは「JUDO」の競技人口が、日本の「柔道」の競技人口を超えているという話もあります。
競技人口の増加は、私にとって非常に重要です。
だからといって「棋道」をないがしろにしているわけではありません。
むしろ普通の人よりも「棋道」を重視していると自負しています。
「GO」で競技人口が増えれば、その中から「棋道」に進む人が一定数現れるでしょう。
その機会を逃すのは、非常にもったいないと感じます。
今の日本には「棋道」を教えられる人はたくさんいますが、「GO」を教えられる人は少ないように思います。
だからこそ、私は「GO」にも挑戦しているのです。
最後に、私が伝えたいのは、どちらが正しいかではなく、二つのアプローチがあるということです。
それぞれにメリットとデメリットがあるため、どちらが正解という結論を出すのは難しいでしょう。
ただ、私は「棋道」と「GO」がうまく共存できるように努めていきたいと思っています。